小腸と大腸
3)小腸
・小腸は長さ約6mの管である。
・トライツ靱帯より肛門側にある。
・回腸弁は小腸の終点。
・小腸の上部2/5を空調、下部3/5を回腸とよび明確な境界は存在しない。
・小腸粘膜にはビロード状の腸絨毛があり、食物から栄養素を吸収する働きを担う。
・上部小腸ではビタミンA・D・B・C・葉酸の吸収が行われる。(ビタミンB12以外のもの)、下部小腸では胆汁酸、ビタミンB12の吸収が行われる。
・小腸癌は非常にまれである。
①クローン病
・大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患といい、 クローン病も、この炎症性腸疾患のひとつである。
・原因不明の慢性非特異性炎症疾患、遺伝的要因やウイルス感染や自己免疫異常を指摘される。
・先進国に多く、北米やヨーロッパで高い発症率を示す。
・環境因子、食生活が大きく影響する。動物性タンパク質や脂肪を多く摂取し生活水準が高いほどクローン 病にかかりやすいと考えられている。
・10~20歳代の若年者に好発し、男性に多く発症する。
・口から肛門部まですべての部位がおかされれ炎症や潰瘍がおこる。
・初期には回盲部に好発する。
・自覚症状は腹痛や下痢、血便、体重減少など。
・薬物治療ではステロイド薬・免疫抑制剤などが用いられ、食事療法では成分栄養療法を行う。
・栄養療法には経腸栄養と完全中心静脈栄養がある。
・経腸栄養療法は、抗原性を示さないアミノ酸を主体として脂肪をほとんど含まない成分栄養剤と少量のタ ンパク質と脂肪含量がやや多い消化態栄養剤やカゼイン、大豆タンパクなどを含む半消化態栄養剤がある。・完全中心静脈栄養は高度な狭窄がある場合や広範囲な小腸病変が存在する場合、経腸栄養療法を行えない 場合などに用いられる。
・狭窄や穿孔を起こすと手術が行われる。
・手術はできるだけ腸管を温存するために小範囲切除や狭窄形成術が行われる。
・再燃・再発を繰り返し慢性の経過をとり、完全な治癒は困難である。
・症状が安定している時期(緩解)をいかに長く維持するかが重要。
4)大腸
・大腸は消化管の最終部で全長約1.6mの管である。
・大腸は盲腸・結腸・直腸からなり、結腸は上行結腸、下行結腸、S状結腸からなる。
・大腸には半月ヒダが存在し、食物の水分を吸収し固形便となり肛門から排泄される。
①大腸癌
・大腸癌の頻度は増加傾向にあり、増加の原因として食生活の西欧化が一因とされる。
・大腸癌は遺伝的に発生する家系が存在する。(家族性大腸ポリポーシスなど)
・組織学的には腺癌が多く、内側の粘膜から発生する。
・好発部位はS状結腸・直腸が多い。
・自覚症状は下痢や便秘、腹部膨満感など。
・発生初期には自覚症状が無い。
・初期には便潜血反応が陽性になるだけで発見が遅れがちである。
・初期の段階(大腸粘膜癌)は開腹手術せずに内視鏡的粘膜切除術で治療を行う。
・大腸癌の手術には、根治を目指す治癒切除と対処療法的な非治癒切除、姑息手術がある。
1.治癒切除
・手術前に肝臓や肺などに転移を認める場合には、治癒切除は行わない。
・治癒切除は手術前に肝臓や肺への遠隔転移および大腸の壁を越えて他臓器に浸潤していないと判断された場合に選択される術式。
・治癒切除では腫瘍部分と周囲のリンパ節の切除を行う。
2.対処療法的
・対処療法的では大腸がんの遠隔転移などのために外科療法で切除しきれない場合や手術後に癌が再発した場合などに化学療法(抗ガン剤)による治療を行う。
・大腸癌は分化度の比較的高い腺癌であり放射線感受性が低い。(放射線治療の効果が弱い)
・放射線療法は高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療方法。
・骨転移や骨盤内再発の痛みに対しては、症状を緩和する目的で放射線療法がしばしば行われる。
・癌が大きい場合に手術前に放射線療法を行い、癌を小さくし手術を行う。これを術前照射という。
・放射線の照射線量は40~50Gy程度。
・放射線療法の副作用として、腸管の癒着による通過障害、粘膜組織障害による下痢や腹痛、出血などの合併症の可能性が考えられる。
3.姑息手術
・高度な転移がある場合には、便排泄を確保するなどの目的のために姑息手術が行われる。
・肉眼で判定できない下血を潜血といい、便潜血反応で検査をする。
②潰瘍性大腸炎
・潰瘍性大腸炎は何らかの原因により、大腸の粘膜に炎症が起こり、びらんや潰瘍ができる疾患。
・大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患といい、 潰瘍性大腸炎も、この炎症性腸疾患のひとつである。
・原因は不明で若年者(小学生から)に多い。
・寛解と増悪を繰り返し完全治癒が得られない。
・直腸に初発し上行性に大腸全体をおかす。
・粘膜面に多発性の潰瘍や浮腫、出血を伴う。
・治療はまず内科治療を行い、コントロール難な出血や狭窄は外科手術で治療する。
・内科治療ではサラゾピン(リウマチ)、ステロイド剤、免疫抑制剤が使用される。
・潰瘍性大腸炎では末梢血白血球除去療法が行われる。
☆末梢白血球除去療法とは…体外循環装置を用いて血液中の白血球の一部を除去することにより、病態の改善を図る治療。静脈から体外循環装置を用いて末梢血を抜き、白血球 を吸着する性質を持った物質の入ったカラムの中を通して白血球を除去し、再び静脈に戻す。これを週1回計5週間、効果不十分な場合には10週間まで行う。
・食生活では油物の摂取を控える。
・大腸摘出すると水分が吸収できないため下痢が多くなる。
③感染性大腸炎
・細菌・ウイルスにより感染する。感染性大腸炎患者の排泄物の取り扱いに注意する。
・食中毒の起因菌に多い物は黄色ブドウ球菌・大腸菌(O157)・腸炎ビブリオ・カンピロバクターなど。
・ウイルスはノロウイルス・ロタウイルスなど。
・感染は中高年に多い。
・自覚症状は大量の水様便と嘔吐を主として訴え、急な腹痛、下血などが見られる。
・多大数の感染性大腸炎は4日程で寛解するため、脱水の予防・治療が主体となる。
④虚血性大腸炎
・高齢者や心疾患・動脈硬化・高血圧・糖尿病・血管障害などの基礎疾患を有する患者に好発する。
・虚血性大腸炎では腸間膜の血管が部分的に阻血となり、腸間膜の壊死と潰瘍がみられる。
・腸間膜の血液がいきにくくなる
・潰瘍性大腸炎・クーロン症・原発性胆汁性肝硬変・劇症肝炎は申請すると治療費が支払われる。
⑤小腸・大腸疾患のポイント
1)定型型手術
・結腸癌の手術…盲腸癌では回盲腸切除を行う。上行結腸癌・右側横行結腸癌では結腸右半切除術を行う。横行結腸中央部の癌は横行結腸切除術を行う。左側横行結腸癌・下行結腸癌では結腸左半分切除術を行う。S状結腸癌ではS状結腸切除術を行う。癌の進行にあわせてリンパ節郭清を行う必要がある。
・直腸癌の手術…腹会陰式直腸切断術(マイルズ手術)を行い、永久人工肛門造設が必要となる。
・人工肛門造設術…手術によって大腸を完全腸瘻として腹壁に固定して便を排出させる手術のこと。
2)炎症性腸疾患…大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患という。具体的には「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」がある。適切な治療をおこなえば通常の生活をおこなえるが残念ながら完全に治ることが無い。
命を落とすことは無いが、生活が大きく病気のために犠牲になるのがこの病気の特徴。3)大腸憩室…大腸の壁の一部が袋状に突出したもの。炎症や出血の原因になる。
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