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看護理論

久々の更新です。

今日は看護理論についてです。

フローレンス・ナイチンゲール
1820年5月12日 - 1910年8月13日。イタリアのフィレンツェ生まれのイギリスの看護婦。
衛生学の影響を強く受けている。彼女は近代看護学・衛生理論の確立者の一人であり、また数学者でもあって、近代統計学の発展に貢献している。病人の回復過程を妨げずそれを促し、回復にふさわしい環境を整えること(衛生環境)を看護の目的とした。患者という人間が身体的・精神的・社会的側面を持つ統合的な存在とした。
 ナイチンゲールは1854年に看護婦団を率いてクリミア戦争のスクタリ野戦病院へ出発。はじめて看護の臨床現場に立つ。翌1855年のスクタリの病院の死亡率42%に及ぶ。イギリス政府が『衛生委員会』を現地に派遣し衛生状況を調査。衛生委員会の働きで給水・排水と換気の問題が改善され、死亡率が急激に下がる。1856年にクリミア戦争が終結し、看護婦団帰国後、スクタリの野戦病院の状況分析を始める。翌1857年スクタリの死亡率の高さが衛生状態の悪さに原因があったことを理解する。ナイチンゲールはこの時の経験を元に病人の回復過程を妨げずそれを促し、回復にふさわしい環境を整えること(衛生環境)を看護の目的としたのではないだろうか。本文中ではナイチンゲールは細菌学よりも衛生学を好んだとあったが、他の文献では
 彼女は「神の声を聞いた人」である。彼女は生涯に4回(1837,1851,1854,1861)神の声を聞いており、クリミアに赴いたのは、神の命に従って奉仕をするためであったが、「病人を救うのは、宗教者の愛よりも衛生環境である」とも言っている。
「近代細菌学の開祖」とされたルイ・パスツールやロベルト・コッホらも1800年代を生きた人物である。やがてルイ・パスツールやロベルト・コッホによって細菌学は黄金期を迎える。ナイチンゲールは、細菌学と公衆衛生運動の急激な進展の時代とほぼ重なる時期に生涯を送っている。

ヴァージニア・ヘンダーソン
1897年11月30日-1996年3月19日。アメリカの看護学者。フローレンス・ナイチンゲールに次いで世界でその名を知られている看護教育の指導者。ミズーリ州のカンザスシティに生まれる。
 ナイチンゲールの患者の欲求などをマズロー(アブラハム・マズロー(アメリカの心理学者)の「マズローの欲求段階説」の影響をうけニード論として示す。マズローの生理的欲求を重視するが患者の社会的欲求について欠落している。
 疾病や傷害により満たされないニードに対し看護師が援助をする。これをヘンダーソンは、その人に体力、意志力あるいは知識が不足しているために、日常の生活体として、また医師による治療を受けていく上で援助を要する人への援助が看護であるということを「看護婦は欠けたるところの「担い手」であると表現した。
 ヘンダーソンは「看護の基本となるもの」に14の日常生活行動を挙げて、それら一つ一つにつき、どのような側面が看護婦の援助を必要とするかを分析した。ヘンダーソンは看護婦は何をするのか、その機能を定義することによって看護婦たちを臨床に回帰させた

マズローの人間の基本的欲求を低次から
①生理的欲求
②安全の欲求
③親和(所属愛)の欲求
④自我(自尊)の欲求
⑤自己実現の欲求

ヘンダーソンの14の基本的ニード
①正常に呼吸する
②適切に飲食する
③身体の老廃物を排泄する
④移動する、好ましい肢位を保持する
⑤眠る、休息する
⑥ 適当な衣類を選び、着たり脱いだりする
⑦ 衣類の調節と環境の調整により、体温を正常範囲に保持する
⑧ 身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
⑨ 環境の危険因子を避け、また、他者を傷害しない
⑩ 他者とのコミュニケーションを持ち、情動、ニード、恐怖、意見などを表出する
⑪ 自分の信仰に従って礼拝する
⑫ 達成感のあるような形で仕事をする
⑬ 遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
⑭“正常”発達および健康を導くような学習をし発見をし、あるいは好奇心を満足させる

ドロセア・オレム
1914年アメリカ合衆国の看護師。メリーランド州ボルチモアで生まれ。
ヘンダーソンのニード論を組み替えた看護理論を定義する。
 ニード論を創意工夫して「セルフケア要件」を示す。ヘンダーソンとの違いは患者自身で自身のニードが満たされなくなったときに看護介入し援助するというもの。オレムの看護一般理論は、セルフケア理論、セルフケア不足理論、看護システム理論の三本の柱から成り立っている。
 オレムは看護をヒューマンサービスとみなしている。オレムの特色は患者やクライアントが経験したセルフケアの逸脱の範囲から示唆されるさまざまな活動と状況を結合するところや、そのことを生かした看護システム企画を提唱した点にある。すなわち看護は「生命および健康を確保するために、疾病や傷害から回復するために、またそれらの影響に対処するために、セルフケア行動が必要なのであるということとそれを持続的に提供し、管理するということ」に特別の関心を払っている。

役割について
すべての人が社会生活を営む上で役割をはたしている。私は家庭では母であり、学校では学生であり、実家では娘である、37歳の女性。と言った具合に場所などにより同じ人間でも様々な役割を演じている。医者と患者が父と子の関係に似ているとも書かれている。

システム論
システムについて書かれている。人を構成している臓器や脳などを持つシステムとされている。すべてシステムに定義されている-家族、社会など。人間相互のやりとり、環境と人間の関わりなど。サイバネティクスなど。情報を受け取り、認知、反応、適用し、フィードバックすることでシステムを一定に保っている。

シスター・カリスタ・ロイ
1939年ロサンゼルス生まれ。ドロシー・ジョンソンの弟子でNANDAの立役者。自身は「理論」ではなく「看護モデル」と述べる。「看護モデル」はロイによると、看護の対象である個人と集団としての人々を如何にして見るかということと、彼らとともに達成しようとする目標を示している。
 ロイは看護学を人間に関する知識の展開システムと考える。ロイは人間を適応的有機体として分析して、人間を4つの適応様式(1)生理的ニード(2)自己概念(3)役割機能(4)相互依存で構成される存在としている。つまり「経験的世界の一部を記述、予測、説明、理解、コントロールするために用いられる相互関連の諸命題で構成されるシステム」と定義づけている。
著書にロイ適応モデルなどがある。

マーサ・E・ロジャーズ
サイバネティクスモデルの欠落を超える「ホメオダイナミックス」をいう理論を提唱。

セルフコンセプト
自己概念-セルフコンセプトについて。自己概念は必ずしも、実際の自分の姿と一致しない。そして自己概念に基づいて人は行動する。このような自己概念は「重要な他者」の反応によって形づくられる。

ボディイメージ
単に体の外見的形態だけではなく、身体の機能をも意味する。人工肛門やカテーテルなどを装着した患者がどのように自分の身体の変化に適応するか、受け入れるか。外見的な変化の他に機能的な変化(排泄や行動のしづらさなど)にたいする戸惑いを知る。

心理学と看護倫理
ペプロウ(精神分析)、トラベルビー(実存分析)やベナー(現象学)は患者の心理面をとりわけ重視した。心理学には理論心理学と臨床心理学がある。理論心理学は人間心理を扱わず認知心理のように偏っていたため、看護では倫理心理学は使われなかった。人の悩みは出来事そのものではなく出来事の受け取り方によって生み出されるものであり、受け取り方を変えれば悩みはなくなるというのが基本的なスタンスとざれている。これに対し臨床心理学とは、精神疾患や心理的問題の治療・解決、あるいは人々の精神的健康の増進に貢献することを目指す心理学の一分野。看護における心理学の役割として、具体的な不安の解消などがあげられる。

カウンセリング
フロイトによって精神分析学が創始された。人間心理の理論と治療技法の体系を指す。20世紀初頭から中葉にかけて、心理学、精神医学に多大な影響を及ぼした。フロイトは人間には無意識の過程が存在し、人の行動は無意識によって左右されるという基本的な仮説に基づいている。フロイトは人は意識することが苦痛であるような欲望を無意識に抑圧することがあり、それが形を変え様々な形で表出されると考えた。

ヒルデガード・E・ペプロウ
1909年-1999年。看護師は医師の補助者ではないと称えた。精神科看護に従事しサチヴァンの「人間関係論精神医学」の影響を強く受ける。看護師は患者にとって母親、兄弟、指導者、カウンセラー、情報提供者などの役割を患者の回復過程に応じて演じていくという基本的枠組みを造る。

ジョイス・トラベルビー
1926年-1973年。アメリカの看護学者。1946年、ニューオーリンズ州のデパウル病院看護学校を卒業。その後、州内のオテル・ド・デュー(慈善病院)看護学校などで講師として精神科看護を教える。 フランクルの実在分析を看護に適用する。
 理論のための理論ではない、臨床現場の現実に即した看護論。著書に『人間対人間の看護』などがある。

ストレス理論とコーピング理論
看護学に大きな影響を与えているセリエのストレス理論とラザルスのコーピング論について書かれている。ストレスと言う言葉は、ハンス・セリエのストレス理論の中の、ストレッサーから派生したもの。動物実験に基づいて最初に唱えたもので、生体が外界からの刺激(ストレッサー)に直面した時に、自らの破綻を回避する目的で起こす適応反応に関する理論である。外傷、出血、感染、薬物、寒暖、心理的刺激、絶食をはじめとする種々の“有害な”作因によって非特異的反応が発生するという、きわめて定型的な機械的、生物学的反応を記述した理論である。ラザルスは人がその出来事をどのように評価しているかによってストレスの度合いが異なってくることに着目した。その評価に対する対処(コーピング)を定義づけた。

パトリシア・ベナー
パトリシア・ベナーは、カルフォルニア大学バークレイ校看護学部の教授で、主に終末期ケアやクリティカルケアなどを中心に、洞察力に富んだ看護論を展開。現代看護のあるべき姿を説いている。看護師が医師の代わりをしなくてはならない場面が多く、それが看護師の重要な役割であるとし、臨床看護師の能力を6つにまとめる。パトリシア・ベナーは、臨床で実践している看護師たちを観察しインタビューすることで、彼らが確かに臨床知というものを身につけていることを見出した。

ジーン・ワトソン
ジーン・ワトソン(Jean Watson、1940年 - )は、アメリカの著名な看護学者。アメリカ、ウェストバージニア州の生まれ。ルイス・ゲイル病院付属の看護専門学校を1961年に卒業。数多くの著書と同時に国際的な研究奨学金も受け、国際ケロッグ・フェローシップではオーストラリアに、フルブライト奨学金ではスウェーデンに留学し、六つの名誉博士号を授与されている。うち三つは国際的な名誉博士号で、スウェーデン、イギリス、カナダのケベック州から授与されている。
 看護学の主要概念としてヒューマン・ケアリングを提唱したことでも知られる。ヴァージニア・ヘンダーソン、サリー・ガドウに強く影響を受ける。

参考文献
勝又 正直:はじめての看護理論 医学書院 2006年8月
H・スモール著:田中京子訳:ナイチンゲール 神話と真実 みすず書房 2003年6月

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