胆道系
6)胆道系
・肝臓でつくられた胆汁は、左肝管と右肝管という管を通って外に流れ出る。左肝管と右肝管は合流して総 肝管となり、さらに、胆嚢から発した胆嚢管と合流して総胆管となります。総胆管は、ちょうど膵管がオッディ括約筋を通過して十二指腸に流れこむ場所で膵管と合流する。
・胆汁は胆嚢に貯蔵され、約10倍に濃縮される。
・食物が入ると自律神経の調節により胆嚢が収縮し、オッディ括約筋が開き、十二指腸に胆汁が排出される。
・胆汁にはビリルビンが含まれ、水に溶けない物質の吸収に関わる。
・胆汁には2つの重要な機能がある。①脂質の消化と吸収を助ける機能②不要になった老廃物、特に破壊さ れた赤血球のヘモグロビンと過剰なコレステロールを体外へ排泄する機能がある。
①胆石症
・日本での胆石症は食生活の欧米化や高齢化により増加し、成人人口の約10%に達する。
・胆嚢結石が約80%と最も多く、胆管結石は約20%で黄疸が出やすい、肝内結石は1~2%の割合である。
・胆石症は女性に多い
・胆石は、その構成成分によってコレステロール石(脂肪系の石)、ビリルビンカルシウム石、黒色石に大 きく分けられるが現在では胆石の70%がコレステロール胆石である。
・胆石の3主徴は①右季助腹痛②発熱③黄疸である。
・肝内結石や総胆管結石は放置しておくと黄疸や胆管炎をおこしやすい。
・検査
・胆嚢結石の98%は腹部超音波検査で診断できる。食事の影響を受けるため絶食での検査となる。
・腹部CT検査では、腹部内部の断面図の画像を撮影し、胆石の成分や大きさ、位置、癌の有無、癌が周囲の臓器に広がっていないかなどを調べる。
・内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)は、口から入れた内視鏡を十二指腸まで送り込み、胆管の出口から造影剤を胆管に流して撮影する検査。同時に、石を取り出す治療として使われる。
・内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)は、胃カメラをのむ苦痛と検査後に膵炎を起こしやすい。
・経皮経肝胆道造影(PTC)は、皮膚と肝臓に細長い針を刺して、胆嚢や肝臓のなかの胆管を造影剤で映し出す検査。
・磁気共鳴膵胆管造影(MRCP)は、造影剤が不用で、リスクの高い場合でも胆管や膵管を映し出すことができる検査。苦痛なく行える。
・超音波内視鏡検査(EUS)は、超音波を発する装置をつけた内視鏡を口から十二指腸まで送り込み、そこから超音波を当てて胆嚢や胆管を調べる検査。腸管ガスなどに邪魔されず、精度の高い鮮明な画像が得られるが、胃カメラをのむ苦痛が伴う。
・治療
・治療の原則として症状の有無と胆嚢の機能の有無で決める。
・胆嚢温存療法を行う。
・ウルソデオキシコール酸服用など内科的治療法を行う。
・内視鏡乳頭切開術(EST)、内視鏡乳頭バルーン拡張術(EPBD)や体外衝撃波胆石破砕術(高周波数の音波で胆石を砕く)を行う。
②胆管系の癌
・胆管系の癌は予後不良である。
・胆嚢に発生した癌を胆嚢癌、肝臓外の胆管に発生した癌を胆管癌、肝臓内の胆管に発生した癌を肝内胆管癌という。
・日本では、人口の高齢化とともに胆嚢・胆管癌は増加の傾向。
③胆管癌
・胆管癌は男性に多い。
・初期には特別な症状がない。
・黄疸が現れた時点では進行癌であることが多く、黄疸発症以前に診断される例はまれである。
・癌に侵されている部分を手術によってすべて取り除く治癒切除術が標準治療である。
・切除不能場合は、黄疸を減少させるように経皮的肝胆道ドレナージ(PTCD)を行う。
・保存的治療では癌で狭くなった場所に網状の金属製のチューブ(メタリックステントステント)を入れ、胆管の拡張をはかる。
・経皮的肝胆道ドレナージ(PTCD)のチューブは体外に出る。
・メタリックステントステントは体外に出ない。
・胆管がんでの切除をした場合の5年生存率は26%、切除で きなかった場合の5年生存率は1%・胆管がんの手術による死亡率は2.4%
④胆嚢癌
・胆嚢癌は高齢の女性に多い。
・初期には特別な症状がない。進行して腹痛・発熱・黄疸などの症状が見られる。
・癌に侵されている部分を手術によってすべて取り除く治癒切除術が標準治療である。
・治癒切除ができれば予後は比較的良好である。
・治癒切除ができない場合でも、黄疸を取り除いたり、腫瘍の圧迫による腸管の閉塞を解除するために手術 を行う場合がある。(姑息的手術)
・胆嚢がんで切除をした場合の5年生存率は42%、切除できなかった場合の5年生存率は2%・胆嚢がんの手術による死亡率は1.2%
⑤胆汁は以下のような作用にかかわる。
1.胆汁に含まれる胆汁酸塩は、コレステロール・脂質・脂溶性ビタミンの溶解性を高め吸収しやすくする。
2.胆汁酸塩は、大腸の内容物が通過しやすいように大腸で水分の分泌を促す。
3.破壊された赤血球の老廃物であるビリルビン(胆汁の主な色素)は、胆汁中へと排泄される(便が緑色から褐色をしているのは、このビリルビンによるもの)。
4.薬などが代謝された後にできる物質(代謝物)は胆汁中へと排出され、その後体外へ排泄される。
5.消化吸収で重要な役割を果たすさまざまなタンパク質が胆汁中へと分泌される。
6.胆汁酸塩は小腸の最後部で回収され、肝臓で再処理されて胆汁中に再分泌されます。この胆汁酸塩の再循環は腸肝循環と呼ばれています。体内の胆汁酸塩は1日に約10〜12回循環しています。胆汁が腸を通過するとき、ごく一部は大腸に到達して、常在細菌によりさまざまな成分に分解されます。そのうち一部は再吸収され、残りは便とともに排泄される。
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