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成人各期の身体・心理・社会的特徴

①成人の定義
日本では満20歳以上の男女を「成人」という。
国語 「大辞林 第二版」より「成人」より。
心身ともに成長して、一人前の人間になること。また、その人。
成年に達すること。また、その人。現代日本では満二〇歳以上の男女をいう。
成人とは大人であることを前提とし、子どもの域を脱して成熟していく過程として理解することができる。成人を規定する場合は、そこに見られる共通性から理解するとともに、個人差があることを考慮する必要がある。

②成人各期のの特徴
成人期には以下のような特徴が見られる。
<青年期の特徴>
身体的特徴
思春期では身体の発達は個人差が大きい。
身長・体重・胸囲・座高などが増加し、外観が著しく変化する。
体力的には個人差があるが、多くは青年期にピークを迎える。
心理・社会的特徴
親や教師に対して反抗的・批判的であると同時に、甘えや依存も強い。
衝動性が強く、かんじょうは不安定で動揺も激しい。
自我同一性(アイデンティティ)を形成する過程で葛藤や緊張状態に陥りやすい。

<壮年期の特徴>
身体的特徴
筋力・持久力・柔軟性・敏捷性・持久力などは加齢と共に低下する。
職業や運動習慣の有無により体力に個人差が生じる。
40歳を過ぎるころから血圧が上昇し、境界域や高血圧の人の割合が増える。
運動量や基礎代謝量が低下し、摂取カロリーが過剰になるため脂肪が蓄積し、体重は60歳ごろまで増加傾向にある。
心理・社会的特徴
40~45歳ごろから老眼鏡がひつようとなり、明暗順応の低下は50歳以降で顕著になる。
聴力低下が起こり、50歳以下では周波数の高い音の弁別力が低下する。
壮年後期以降になると味覚の低下がみられるようになる。

<更年期の特徴>
身体的特徴
生殖機能の減退と共に男女とも更年期にはいる。
日本人女性の平均閉経年齢とされる50歳頃から、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下し、全人口の約半数に更年期障害の症状が現れる。
男性は、男性ホルモンすなわち、テストステロンの分泌が緩やかに減少する40~50歳代にかけて、更年期症状が現れることがある。
心理・社会的特徴
記銘力や集中力は加齢に伴い低下する。
言語能力・思考能力・判断力などの精神機能は加齢によって容易に衰退しない。
職業人として経済的に自立し、社会的安定や生活の満足感を得る。

<向老期の特徴>
身体的特徴
細胞・基質あるいは細胞間物質、体液の各構成要素に、加齢を伴う変化が現れる。
結合組織の変質が特に動脈硬化として現れてくる。
程度の差はあるが、全ての臓器の機能が低下していく。
皮膚のシワが多くなり、色素沈着も進行する。
毛髪の粗密化(禿)、灰白化すなわち白髪が多くなる。
脊柱の変化と下半身の関節の屈曲が原因で身長が徐々に減少し、姿勢も変化する。
身長と姿勢の変化は骨粗鬆症によるところが大きく、特に閉経後の女性にその傾向がみられる。
心理・社会的特徴
職業生活からの引退、子どもの独立、親や配偶者との死別など、喪失を経験する。
身体機能の低下や、家庭や社会での役割の変化に戸惑いを感じることがある。

③各期の特徴のまとめ
青年期…様々な理由から行動を制限されることが多く、フラストレーションに陥ることが多い。
壮年期…働き盛りではあるが、肉体の衰えや健康への不安を感じ始めるようになる。
更年期…顔がほてる、急に汗をかく、心理的不安になるなどの更年期障害症状が出ることがある。
向老期…身体的な機能は低下の一途をたどるが、社会的な経験が豊富で統合的な判断力や人間関係の調節力に優れている。
④成人各期の健康問題
 成人各期の健康問題には以下のような特徴が見られる。

<青年期の特徴>
死因の上位を占めるのは自殺である。
有訴者率・受療率・死亡率は低く、身体的な健康面では問題が少ない。
受験・対人関係・学校生活などで葛藤や不安を抱えやすい。
主な疾患として、登校拒否・ダイエットなどで、近年は性感染症も増加している。

<壮年期の特徴>
死因の上位を占めるのは自殺と悪性新生物である。
家庭でも職場でも重責を担う時期であり、ストレスをためやすくなる。
動脈硬化が進行する時期である。
家庭や職場での役割を重視・優先させるがゆえに、セルフケア不足に陥りやすい。

<向老期の特徴>
死因の上位を占めるのは悪性新生物・循環器疾患・脳血管疾患である。
有訴者率・受療率・死亡率は急激に増加する、なかでも循環器疾患の受療率が増加する。
加齢現象とそれまでの生活習慣の積み重ねが健康問題に大きく影響している。
定年退職後の生活などにうまく対応できないと自己嫌悪、自尊感情の低下につながる。
心理的な危機は身体活動を低下させ、老化現象を早めることがある。

2.成人期における発達課題(エリクソン、ハヴィガースト)
①ライフサイクル
人間は環境との関わりの中で、乳幼児期・学童期・青年期・壮年期・老年期と変化していく。
この変化は一定の方向性を持ち、連続性である。
この変化の過程は発達ととらえる。

②成人期とは、青年期から壮年期を経て向老期までのほぼ40年間を指す。
・青年期…15歳前後~30歳前後。
成人になるために心身の発達と社会的自立を準備している時期。
・壮年期…30歳前後~60歳前後。
                成熟した身体機能を維持しながら自立した社会活動を営み、精神活動の充実を図る時期。
・向老期…成人になるために心身の発達と社会的自立を準備していく時期。

③成人の発達成長
人間は生涯を通して成長・発達し続ける存在であり、発達の各段階で、その時期に特有な発達課題 を持つと考えられている。

エリクソン
エリクソンは自我と社会・分化・歴史的状況の相互作用の中で発達をとらえ、各発達段階で各人が直面する課題について理論化した。
また、身体の成長に順序性があるように、精神の発達課題にも順序があると考え、その発達段階を8つに区分した。人には年齢に応じた発達段階があり、それを土台に次の発達が準備されるとする理論を人格漸成論という。この理論で成人期にあたるのは、第Ⅴ段階から第Ⅷ段階である。

ハヴィガースト
個人が健全な発達を遂げるために、発達のそれぞれの時期で果たさなければならない課題を設定した。ある年代のための発達課題は達成するべき年代を過ぎると後の年代でそれを達成しようとしても困難が伴うことがある。しかしどの程度に達成できるかは個人によって違いがある。

<青年期の発達課題>
・総年齢の男女と洗練された新しい交際を学ぶこと。
・男性として、また女性として社会的役割を学ぶこと。
・自分の身体構造を理解し、身体を有効に使うこと。
・両親や他の大人から情緒的に独立すること。
・経済的な独立について自信をもつこと。
・職業を選択し準備すること。
・結婚と家庭生活の準備をすること。
・市民としての必要な知識と態度を発達させること。

<壮年期の発達課題>
・配偶者を選ぶこと。
・配偶者との生活を学ぶこと。
・第一子を家族に加えること。
・子どもを育てること。
・家庭を管理すること。
・職業に就くこと。
・市民的責任を負うこと。
・適した社会集団を見つけること。

<中年期の発達課題>
・大人としての市民的・社会的責任を達成すること。
・一定の経済的生活水準を築き、それを維持すること。
・十代の子供たちが信頼できる幸福な大人になれるよう助けること。
・大人の余暇活動を充実すること。
・自分と配偶者が人間として結びつくこと。
・中年期の生理的変化を受け入れ、それに適応すること。
・年老いた両親に適応すること。

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