消化器

消化器・外科

消化器外科
1)食道

①食道癌
・好発部位は胸部中部食道。
・食道癌は男性に多い。
・危険因子は喫煙・飲酒・熱いものの飲食などがある。
・食道癌の90%は扁平上皮癌である。
・他臓器転移は肺・胸膜・リンパ節・肝臓など
・自覚症状は嚥下困難。
・検査は食道造影・ルゴール染色・生検・細胞診などを行う。
・食道癌の治療は手術療法・化学療法・放射線療法が基本。
・食道癌には放射線が有効。
・胸部食道癌の手術は開胸、開腹を行う。
・食道癌の再建臓器としては胃・結腸などが利用されることが多い。
・再建経路
胸壁後:再建距離が長い。縫合不全の危険性は少ない。縦隔中再発でも食物通過が可能。外見上の問題がある。
胸骨前:再建距離は胸壁後より短い。縫合不全の処置が困難。心臓や肺を圧迫。再建臓器の圧迫壊死がありうる。
後縦隔:再建距離が最も短い。縫合不全は最も少ない。食物の通過が最も良好。縫合不全の処置が最も困難。
・術式は食道切除術、リンパ節郭清などが行われる。
・術後合併症として縫合不全や嗄声などがある。

②食道・胃静脈瘤
・肝硬変(70~80%)などの基礎疾患を背景として、門脈圧の亢進がみられる。
・特発性や塞栓が原因の場合もある。
・診断は血液検査を行う。
・治療はS-Bチューブによる圧迫止血を行う。
・外科手術…ハッサブ法
・内科的治療…食道静脈瘤硬化療法(EIS)、静脈瘤結紮術(EVL)、IVR

2)胃

①胃・十二指潰瘍(消化性潰瘍)
・好発部位
胃潰瘍ー小弯側、胃角
十二指腸潰瘍ー前壁
・好発年齢層
胃潰瘍ー20~50歳代の男性。
十二指腸潰瘍ー20~30歳代の男性。
・潰瘍の90%にヘリコバクター・ピロリ菌陽性。
・症状…心窩部痛
胃潰瘍ー食後の腹痛
十二指腸潰瘍ー空腹時の上腹部痛。
・治療は内科的治療と外科治療。
・内科的治療方針は、攻撃因子(胃酸)を低下、防御因子(粘液)を増強させる。
・薬物療法ではH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬など胃酸分泌抑制薬を投与する。
・外科的治療には幽門側胃切除術、大網充填術などがある。
・合併症として出血・穿孔・幽門狭窄などがある。

②胃癌
・日本の胃癌の頻度は世界的にも多く、胃癌多発国。
・胃癌は50歳代の男性に多い。
・組織型ではほとんどが腺癌である。
・好発部位は幽門前庭部、胃体部、胃上部の順に多く発生。
・分類
早期胃癌ー粘膜下層のもの。リンパ節転移の有無を問わない。
進行胃癌ー固有筋層以下に浸潤しているもの。
・症状は早期胃癌は無症状のことがある。
・検査は上部消化管透視、上部消化管内視鏡、エコー、CT、MRI
・進展により、上腹部痛、悪心、嘔吐、上腹部膨満感。
・転移
血行性ー肝臓・肺・脳などに転移しやすい。
リンパ行性ーウイルヒョウー転移(左鎖骨上リンパ節)
播種性ーシュニッツラー転移、ダグラス窩転移、クルーケンベルグ腫脹(卵巣転移)
・治療は内視鏡的胃粘膜切除術、腹腔鏡下手術、胃全摘術の再建法、治癒切除。
・外科手術
 幽門部胃切除術
 分門部側胃切除術
 胃空腸バイパス術
 胃全摘術
 胃切除後再建法
・移設後の合併症に輸入脚症候群がある。
・輸入脚症候群の治療ではブラウン吻合を行う。
・胃切除後再建法にビルロートⅠ・Ⅱ法、RーY法がある。
・術後の合併症に縫合不全・術後出血・ダンピング症候群がある。
・胃切除後の縫合不全は術後1週間前後に起こる。
・術後出血で血圧低下がみられれば緊急再開腹止血術を行う。
・ダンピング症候群が現れた場合には、保存的に経過を観察する。
・胃全摘術後、鉄欠乏性貧血を起こすことがある。(鉄・ビタミンB12吸収障害)

3)小腸

①クローン病
・原因は不明で10歳代後半~20歳代に多い。
・口から肛門部まですべての部位がおかされれ炎症や潰瘍がおこる。
・非連続性病変。
・初期には回盲部に好発する。
・薬物治療ではステロイド薬・免疫抑制剤などが用いられ、食事療法では成分栄養療法を行う。
・狭窄や穿孔を起こすと手術が行われる。
・手術はできるだけ腸管を温存するために小範囲切除や狭窄形成術が行われる。
・再燃・再発を繰り返し慢性の経過をとり、完全な治癒は困難である。

②虫垂炎
・10~20歳代前半に好発
・急性虫垂炎では痛みが心窩部痛から右下腹部痛へ移行する。
・虫垂の化膿性炎症
・診断はCRP上昇、マックバーニー圧痛点、ランツ圧痛点、ブルンベルグ徴候などがある。
・治療は保存的療法と手術。

4)大腸

①大腸ポリープ
・大腸ポリープとは大腸良性腫瘍のこと。
・腺管腺腫で、2cmをこえるとがんの合併率が高くなる。
・炎症性ポリープは潰瘍性大腸炎やクローン病などでみられる。
・家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)
常染色体優性遺伝。
20歳を過ぎると、がん化頻度が急増。

②大腸癌
・40歳以上に好発、近年増加傾向にある。
・組織学的には腺癌が多く、内側の粘膜から発生する。
・好発部位は直腸・S状結腸が多い。
・自覚症状は下痢や便秘、腹部膨満感、しぶり腹など。
・診断では便潜血反応、直腸指診、注腸造影(アップルコア・サイン)、大腸内視鏡、腫瘍マーカーなど。
・腫瘍マーカーはCEA、CA19-9などが異常高値となる。
・治療の中心はがんを取り除く外科的治療であり、これに加え化学療法や放射線療法などの補助療法を行う。
・外科手術
大腸がんの手術には、腹腔鏡補助下大腸切除術・ 経肛門的切除 ・開腹手術(大腸切除術)などがある。

大腸切除術
   回盲部切除術
   右半結腸切除術
   横行結腸切除術
   左半結腸切除術
   S状結腸切除術
   前方切除術
   直腸切除術

③潰瘍性大腸炎
・原因は不明で10~20歳に多い。
・粘膜・粘膜下層をおかし寛解と増悪を繰り返す。
・直腸に初発。びまん性・連続的に全大腸に進展する。
・全大腸炎型や10年以上の長期例では大腸がんの発生頻度が高い。
・粘膜面に多発性の潰瘍や浮腫、出血を伴う。
・診断
注腸造影でハウストラの消失、狭窄がみられる。
大腸ファイバーで潰瘍、びらん、出血などがみられる。
・治療はまず内科治療を行い、コントロール難な出血や狭窄は外科手術で治療する。

5)肛門疾患

①人工肛門形成術
・原因疾患は、大腸がん、直腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、ガードナー症候群、鎖肛など。
・肛門機能を温存できない場合、腹会陰式直腹切断術(マイルズ手術)を行い、人工肛門造設をする。
・人工肛門造設部位決定の原則にクリーブランドクリニックの基準がある。
 1)臍部より低い位置
 2)腹部脂肪層の頂点(マウンテントップ)
 3)腹直筋を貫く位置
 4)皮膚のくぼみ、しわ、瘢痕等を避けた位置
 5)患者自身が見ることができる位置(セルフケア)

②痔核
・上・下直腸静脈瘤が静脈瘤ができる。
・分類
 内痔核ー歯状線より口側にでき、出血や脱水を起こす。(疼痛は少ない)
 外痔核ー歯状線より肛門側にでき、疼痛がある。(イボ痔)
・治療は生活指導や排便コントロール、座薬、内服、皮膚の清潔を保つなどから始める。
・外科的治療を行う場合は痔核切除術や硬化療法を行う。

③痔瘻
・肛門陰窩に膿瘍、瘻孔を形成する。
・症状は有痛性腫脹、膿性分泌物。
・診断は肛門周囲に2次孔の確認。
・治療は瘻孔切除を行う。

6)胆道系

①胆石症
・4F:中年、女性、小太り、全身状態良好な人に好発する。
・症状は疝痛発作、右希肋部痛、右肩への放散痛、心窩部痛、発熱、黄疸など。
・コレステロール胆石が約70%、ビリルビン胆石が約30%
・胆石症の約80%が胆嚢動脈にできる。
・胆嚢結石が約80%と最も多く、胆管結石は約20%で黄疸が出やすい、肝内結石は少ない。
・診断はエコー、CTを行う。
・治療は内視鏡手術を行う。(腹腔鏡下胆嚢摘出術)

②急性胆嚢炎
・約90~95%に胆嚢結石を合併。
・診断はエコー、CTを行う。
・治療は保存的治療を行ってから外科的治療を行う。(胆嚢摘出術など)

③慢性胆嚢炎
・急性期炎症の有無に関わらず、胆嚢壁の肥厚などを呈する。

④胆管炎
・急性閉塞性化膿性胆管炎
・原因は総胆管結石や胆管腫瘍などによる。
・シャルコーの3主徴がみられる。症状は間欠性発熱、上部腹痛、黄疸。
・レイノルズの5主徴とはシャルコーの3主徴+低血圧、意識障害。
・治療は胆道減圧(PTCD)を行い、抗生剤投与などの内科的治療を行う。

⑤胆嚢がん
・60歳以上の女性に多い。
・胆石の合併症(約70%以上)
・周囲臓器に直接浸潤やリンパ節、肝臓転移が多い。
・早期がんは無症状が多い。
・診断は腫瘍マーカー、エコー、CTなどを行う。
・腫瘍マーカーはCEA、CA19-9などが異常高値となる。
・治療は胆嚢摘出術+リンパ節郭清などを行う。
・化学療法の効果が期待できない。

⑥胆管がん
・50~60歳以上の男性に多い。
・症状は閉塞性黄疸など。
・診断はエコー、CT、MRI、ERCP、PTCDなどを行う。
・治療は胆嚢摘出術+リンパ節郭清などを行う。
・化学療法の効果が期待できない。

7)肝臓

①肝癌
・肝臓には肝動脈と門脈といった2系統の血流が流入している。
・肝臓癌の95%以上は肝細胞癌。
・肝癌は、原発性肝癌と転移性肝癌に分けられる。
・移転性肝癌とは胃癌や大腸癌などの癌細胞が血液を介することで肝臓に移転してきたもの。
・40~65歳代の男性に多い。
・原発性肝臓癌の80%以上肝硬変を合併。(C型肝炎ウイルス・B肝炎ウイルスが関与)
・診断は腫瘍マーカー、エコー、CT、MRI、血管造影など。
・腫瘍マーカーではAFP、PIVKA-Ⅱが異常高値となる。
・移転性肝がんは治療が難しく命に関わることがある。
・治療は原発巣を根治し、他に転移が認められない場合に肝切除術を行う。
・正常な肝臓は約80%まで切除可能である。

②黄疸
・通常のビリルビン値は1.0~2.0mg/dl。
・黄疸が見られる時は2.0~3.0mg/dl。
・黄疸には肝前性黄疸(溶血性黄疸)・肝性黄疸・肝後性黄疸(閉塞性黄疸)がある。
・外科で多く見られるのは肝後性黄疸(閉塞性黄疸)。

8)膵臓

①急性膵炎
・膵酵素により膵臓自体を自己消化し、炎症を起こす。
・急性膵炎は男性に多い。男性では40歳代、女性では60歳代に好発する。
・原因としてアルコールの多飲、総胆管結石、自己消化により膵炎をおこす。
・症状は激痛を訴え、上腹部や背部痛、嘔吐を伴い、ショックに陥る場合もある。
・重症膵炎ではカレン徴候やグレイ・ターナー徴候がみられる。
・診断はCT、エコーで膵臓腫大、膵周囲の滲出液の貯留を検査する。
・血液検査を行い膵臓に特異的な膵アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼなどの膵酵素を測定する。
・治療は内科的治療(保存療法)で効果が得られない場合に外科手術を行う。
・膵炎患者には低脂肪食を与える。

②慢性膵炎
・膵炎の症状が6ヶ月以上持続、組織学的に膵臓の繊維化、内外分泌組織の破壊・消失と膵管系の拡張・狭 窄をみとめられる。
・原因はアルコールの多飲、胆石膵炎(突発性膵炎)などである。
・慢性膵炎は男性に多い。
・症状は上腹部や食欲不振、悪心、下痢、糖尿病など。
・診断はCTで膵内石灰化、アメリカでは膵石エコーを行う。
・治療は内科的治療(保存療法)で疼痛発作が強い場合に外科的治療を行う。
・膵炎患者には低脂肪食を与える。

③膵がん
・膵頭部がん、膵体尾部がん、全体がんに分類する。
・膵がんのほとんどが膵頭部に発生。
・症状
 膵頭部がんー閉塞性黄疸、上腹部痛、クールポアジェ徴候(胆嚢の腫れ)
 膵体尾部がんー腹痛、体重減少、食欲不振
・診断は腫瘍マーカー、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)、CT、MRI、エコー。
・腫瘍マーカーではCA19ー9が上昇する。
・膵癌の予後は消化器癌のなかで最も不良である。
・治療は手術が最良の治療法である。
・根治治療
 膵頭部がんー膵頭十二指腸切除術
 膵体尾部がんー膵体尾部切除術
・手術療法に放射線治療,化学療法、免疫療法を手術に組み合わせて行う。

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膵臓

7)膵臓
・膵臓は消化酵素を産生する外分泌部とホルモンを産生する内分泌部の2種類の組織で構成される。
・膵臓は頭部・体部・尾部に分けられる。
・膵臓は身体の背中側にある。身体の背中側は動脈が多く存在し(門脈も存在する)手術を行いにくい。
・膵臓の導管は主膵管と副膵管の2種類がある。
・主膵管は総胆管に合流し十二指腸下行脚に開口する。この開口部をファーター乳頭という。
・外分泌部は膵臓の約90%を占め、膵液は限られた所に働きかける。
・外部分泌からアミラーゼ・リパーゼ・トリプシノーゲン・キモトリプシンなどの消化酵素が分泌される。
・アミラーゼは炭水化物を消化する。
・リパーゼは脂肪を消化する。
・トリプシンはタンパク質を消化する。
・内分泌としてはランゲルハンス島から分泌される、インスリン・グルカゴン・ソマトスタチンなどがある。
・膵液は無色透明で、成人では1日500~2000mlが分泌される。
・弱アルカリ性で、胃液で酸性にされて送られてきた内容物を中和する。
・膵液の分泌には、十二指腸や小腸粘膜から分泌されるホルモンが影響する。
・主なホルモンとして、十二指腸粘膜・上部小腸粘膜から分泌されるセクレチン、十二指腸粘膜から分泌さ れるコレシストキニンがある。
・セクレチンの刺激で分泌される膵液には水や炭酸水素ナトリウムが多い。
・コレシストキニンの刺激で分泌される膵液には消化酵素が多く含まれる。
・内分泌は尾部に多い。
・疾患により尾部の摘出を行うと体内でインスリンが生成できなくなり、糖尿病にかかりやすくなる。
・インスリンはランゲルハンス島のβ細胞から分泌され、血糖値を低下させる。
・グルカゴンはランゲルハンス島のα細胞から分泌され、血糖値を上昇させる。
・各種の酵素は膵臓で不活性の状態で分泌され、消化管に到達してから活性化される。
・膵臓は大量の炭酸水素ナトリウムを分泌し、胃から流れてくる胃酸を中和することで十二指腸粘膜を保護 している。
・膵外分泌を刺激するセクレチンを静注して十二指腸液を採液し、その液量・成分を分析することによって 膵外分泌機能を評価する検査。(アミラーゼ、重炭酸塩素濃度を調べる)
①急性膵炎
・膵酵素(アミラーゼ)が活性化し、膵組織や膵周辺組織を自己消化することによって、浮腫・壊死・出血 が生じる。
・急性膵炎は男性に多い。男性では40歳代、女性では60歳代に好発する。
・アルコールの多飲と総胆管結石により膵管が狭窄し自己消化により膵炎をおこす。
・大酒家に急性膵炎が発症する。
・激痛を訴え、上腹部や背部痛、嘔吐を伴い、ショックに陥る場合もある。
・CT、エコ検査で膵臓の腫大、膵周囲の滲出液の貯留。
・血液検査を行い膵臓に特異的な膵アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼなどの膵酵素を測定する。
・治療は膵外分泌の抑制、疼痛対策、ショックなどの合併症対策や二次感染の予防を行う。
②慢性膵炎
・膵炎の症状が6ヶ月以上持続して、組織学的に膵臓の繊維化をきたし、内外分泌組織の破壊・消失と膵管 系の拡張・狭窄をみとめられる。
・原因はアルコールの多飲が約60%を占める。次に多いのが胆石膵炎(突発性膵炎)である。
・非代償性である糖尿病や吸収不良症候群、膵石による膵炎発作の反復などの所見を示すタイプがある。
・非代償性の症状として、食欲不振・体重減少・下痢などがあげられる。
・尾部の摘出を行った場合は糖尿病にかかりやすい。
・磁気共鳴膵胆管造影(MRCP)や内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を行う。
・磁気共鳴膵胆管造影(MRCP)は、造影剤が不用で、リスクの高い場合でも胆管や膵管を映し出すこと ができる検査。苦痛なく行える(侵襲が少ない)がこの設備を備えている医療機関は限られている。
・内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)は、胃カメラをのむ苦痛と検査後に膵炎を起こしやすい。
・外分泌を刺激し、胃酸を押さえるセクレチン試験を行う。セクレチン試験は侵襲が大きい。
③膵癌
・膵癌の90%以上は外分泌組織(腺房細胞・導管部、いわゆる頭部)に由来する。
・外分泌組織の膵管上皮から発生し、内分泌組織から発生するのはまれである。
・膵癌は治療成績の悪い癌である。(極めて予後不良)
・症状が出にくいため早期の発見は困難である。
・膵臓が後腹膜に位置するため、癌が容易に周辺組織とくに血管に浸潤しやすい。
・内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)は、胃カメラをのむ苦痛と検査後に膵炎を起こしやすいため磁気 共鳴膵胆管造影(MRCP)を行い診断する。
・腫瘍マーカーであるCA19-9が膵癌では上昇する。
・膵体尾部癌に対しては膵尾側切除がおこなわれるが、術後に糖尿病になる。
・膵癌の予後は消化器癌のなかで最も不良である。
・根治治療においても5年生存率は10%程度である。
・手術のみでは予後不良であるため、放射線治療,化学療法、免疫療法を手術療法に組み合わせて行う集学 的治療が検討されている。

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胆道系

6)胆道系
・肝臓でつくられた胆汁は、左肝管と右肝管という管を通って外に流れ出る。左肝管と右肝管は合流して総 肝管となり、さらに、胆嚢から発した胆嚢管と合流して総胆管となります。総胆管は、ちょうど膵管がオッディ括約筋を通過して十二指腸に流れこむ場所で膵管と合流する。
・胆汁は胆嚢に貯蔵され、約10倍に濃縮される。
・食物が入ると自律神経の調節により胆嚢が収縮し、オッディ括約筋が開き、十二指腸に胆汁が排出される。
・胆汁にはビリルビンが含まれ、水に溶けない物質の吸収に関わる。
・胆汁には2つの重要な機能がある。①脂質の消化と吸収を助ける機能②不要になった老廃物、特に破壊さ れた赤血球のヘモグロビンと過剰なコレステロールを体外へ排泄する機能がある。
①胆石症
・日本での胆石症は食生活の欧米化や高齢化により増加し、成人人口の約10%に達する。
・胆嚢結石が約80%と最も多く、胆管結石は約20%で黄疸が出やすい、肝内結石は1~2%の割合である。
・胆石症は女性に多い
・胆石は、その構成成分によってコレステロール石(脂肪系の石)、ビリルビンカルシウム石、黒色石に大 きく分けられるが現在では胆石の70%がコレステロール胆石である。
・胆石の3主徴は①右季助腹痛②発熱③黄疸である。
・肝内結石や総胆管結石は放置しておくと黄疸や胆管炎をおこしやすい。
・検査
・胆嚢結石の98%は腹部超音波検査で診断できる。食事の影響を受けるため絶食での検査となる。
・腹部CT検査では、腹部内部の断面図の画像を撮影し、胆石の成分や大きさ、位置、癌の有無、癌が周囲の臓器に広がっていないかなどを調べる。
・内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)は、口から入れた内視鏡を十二指腸まで送り込み、胆管の出口から造影剤を胆管に流して撮影する検査。同時に、石を取り出す治療として使われる。
・内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)は、胃カメラをのむ苦痛と検査後に膵炎を起こしやすい。
・経皮経肝胆道造影(PTC)は、皮膚と肝臓に細長い針を刺して、胆嚢や肝臓のなかの胆管を造影剤で映し出す検査。
・磁気共鳴膵胆管造影(MRCP)は、造影剤が不用で、リスクの高い場合でも胆管や膵管を映し出すことができる検査。苦痛なく行える。
・超音波内視鏡検査(EUS)は、超音波を発する装置をつけた内視鏡を口から十二指腸まで送り込み、そこから超音波を当てて胆嚢や胆管を調べる検査。腸管ガスなどに邪魔されず、精度の高い鮮明な画像が得られるが、胃カメラをのむ苦痛が伴う。
・治療
 ・治療の原則として症状の有無と胆嚢の機能の有無で決める。
 ・胆嚢温存療法を行う。
 ・ウルソデオキシコール酸服用など内科的治療法を行う。
 ・内視鏡乳頭切開術(EST)、内視鏡乳頭バルーン拡張術(EPBD)や体外衝撃波胆石破砕術(高周波数の音波で胆石を砕く)を行う。
②胆管系の癌
・胆管系の癌は予後不良である。
・胆嚢に発生した癌を胆嚢癌、肝臓外の胆管に発生した癌を胆管癌、肝臓内の胆管に発生した癌を肝内胆管癌という。
・日本では、人口の高齢化とともに胆嚢・胆管癌は増加の傾向。
③胆管癌
・胆管癌は男性に多い。
・初期には特別な症状がない。
・黄疸が現れた時点では進行癌であることが多く、黄疸発症以前に診断される例はまれである。
・癌に侵されている部分を手術によってすべて取り除く治癒切除術が標準治療である。
・切除不能場合は、黄疸を減少させるように経皮的肝胆道ドレナージ(PTCD)を行う。
・保存的治療では癌で狭くなった場所に網状の金属製のチューブ(メタリックステントステント)を入れ、胆管の拡張をはかる。
・経皮的肝胆道ドレナージ(PTCD)のチューブは体外に出る。
・メタリックステントステントは体外に出ない。
・胆管がんでの切除をした場合の5年生存率は26%、切除で きなかった場合の5年生存率は1%・胆管がんの手術による死亡率は2.4%
④胆嚢癌
・胆嚢癌は高齢の女性に多い。
・初期には特別な症状がない。進行して腹痛・発熱・黄疸などの症状が見られる。
・癌に侵されている部分を手術によってすべて取り除く治癒切除術が標準治療である。
・治癒切除ができれば予後は比較的良好である。
・治癒切除ができない場合でも、黄疸を取り除いたり、腫瘍の圧迫による腸管の閉塞を解除するために手術 を行う場合がある。(姑息的手術)
・胆嚢がんで切除をした場合の5年生存率は42%、切除できなかった場合の5年生存率は2%・胆嚢がんの手術による死亡率は1.2%
⑤胆汁は以下のような作用にかかわる。
1.胆汁に含まれる胆汁酸塩は、コレステロール・脂質・脂溶性ビタミンの溶解性を高め吸収しやすくする。
2.胆汁酸塩は、大腸の内容物が通過しやすいように大腸で水分の分泌を促す。
3.破壊された赤血球の老廃物であるビリルビン(胆汁の主な色素)は、胆汁中へと排泄される(便が緑色から褐色をしているのは、このビリルビンによるもの)。
4.薬などが代謝された後にできる物質(代謝物)は胆汁中へと排出され、その後体外へ排泄される。
5.消化吸収で重要な役割を果たすさまざまなタンパク質が胆汁中へと分泌される。
6.胆汁酸塩は小腸の最後部で回収され、肝臓で再処理されて胆汁中に再分泌されます。この胆汁酸塩の再循環は腸肝循環と呼ばれています。体内の胆汁酸塩は1日に約10〜12回循環しています。胆汁が腸を通過するとき、ごく一部は大腸に到達して、常在細菌によりさまざまな成分に分解されます。そのうち一部は再吸収され、残りは便とともに排泄される。

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C型肝炎まとめ

C型肝炎のまとめ

①C型肝炎の特徴のまとめ。
・血液を介して感染する。
・感染経路として最も多いのが輸血で、全体の約4割を占める。
・急性期では、A・B型に比べて症状が軽い。
・C型急性肝炎の多くは慢性化する。
・慢性化すると、自然治癒はまれである。
・経過とともに肝硬変、肝癌になる人が7割もいる。
②C型肝炎の検査を受けたほうがよいとされている人
・平成4年(1992年)以前に輸血を受けた人
・長期に血液透析を受けている人
・輸入非加熱血液凝固因子製剤を投与された人
・輸入非加熱血液凝固因子製剤と同等のリスクを有する非加熱凝固因子製剤を投与された人
・フィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む)を投与された人
・大きな手術を受けた人
・臓器移植を受けた人
・薬物乱用者、入れ墨をしている人
・ボディーピアスを施している人
・その他:過去に健康診断で肝機能検査の異常を指摘されているにもかかわらず、その後肝炎の検査を実施していない人

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肝臓

5)肝臓
・肝臓は人体最大の実質臓器。やわらかく血液に富む。
・腹腔の右上部、横隔膜の真下に位置する。
・成人男性で重さ約1200g、女性では約1000g
・肝鎌状間膜によって右葉・左葉に分かれる。また、血管支配に基づいて分けることもできる。
・肝臓には門脈・動脈・胆管などが走行しておりこれを門脈域と呼ぶ。
・肝臓の細胞間には細胆管が開いており、肝細胞でつくられた胆汁はこの細胆管から流れ肝外に出ていく。
・肝臓の血管の特徴は、流れ込む血管が2本あり、出ていく血管が1本であることである。
・流れ込む血管は肝動脈と門脈である。
・肝動脈は肝臓の栄養血管として腹腔動脈から分岐した動脈のこと。
・門脈から胃・腸・膵臓・脾臓からの栄養分の多い静脈血を引き込んでいる。
・肝動脈と門脈はいずれも肝門部から肝内に入り、ほとんど併走して門脈域を流れる。
・肝動脈は動脈血、門脈は静脈血が流れる。
・肝臓では栄養物や一部の不要物を取り込んで、栄養物を貯蔵したり、身体に必要な成分に代謝する一方、 不要物を解毒したり、胆汁中に排泄する機構を持っている。
・胃、小腸、大腸からの血流は門脈を介して肝臓に運ばれる。(吸収された栄養物や経口薬剤を含む)
・ブドウ糖をグリコーゲンに変化させ貯蔵する。
・脂肪やたんぱく質の代謝も行う。
・たんぱく質(特にアルブミン・凝固因子)を産出する。
・アルブミンは糖質浸透圧の主要なたんぱく質である。
・アルブミンが少ないと血管外に水分が貯留する→腹水→門脈圧上昇。
・血液凝固因子が減少すると出血傾向になり、アンモニアが処理できなくなる→肝性脳症(肝性昏睡)→芳 香族アミノ酸上昇。
・アンモニアは腸内細菌が産出。
・胆汁は胆汁酸とビリルビンから成り立つ。
・ビリルビンは老赤血球が脾臓で破壊されて出てきたヘモグロビンに由来する。
・ヘモグロビンは非水溶性のビリルビンになり、アルブミンにより肝臓に運ばれ、肝細胞内でグルクロン酸 抱合され水溶性のビリルビンになり肝細胞から排出される。
・正常ビリルビン値は1.0mg/dl以下。
・腸管に出たビリルビンは腸内細胞によって還元され、ウロビリンとなり殆どが便に排出され、便の褐色色 素はこれに由来する。
・便は胆汁が混じらないと便は白色である。
・胆汁酸はコレステロールを原料にしてつくられる。
・胆汁産出するシステム
1.肝細胞において胆汁酸がつくられる。
2.胆汁酸は胆汁内に流され、小腸では脂肪・脂溶性ビタミンが吸収され、胆汁は約95%が回腸末端で   再吸収され、門脈を介し肝臓で再利用される。
3.残りの約5%が結腸で再吸収され、門脈を介し肝臓で再利用される。
・肝細胞が破壊されると…GOT・GPT・LDHが肝細胞から血中に逸脱する。
**肝機能低下すると…アンモニア値が上昇する。アルブミン値が低下する。プロトロンビン時間が低下(延長)する。ビリルビン値が上昇する。
・老廃物は胆汁に溶け込んで肝臓から十二指腸に排出される。
・脂溶性ビタミンは胆汁が出ていないと吸収されない。
①肝性脳症
・軽い内は気分の変動やだらしない態度。
・外界の刺激に応じられなくなったり、眠ったような嗜眠状態になり、ついには意識が完全に消失する。
・進行すると記銘力低下、矢見当識。(自分のおかれた立場がわからない)
・重篤になると昏睡に陥る。
・羽ばたき振戦・腱反射異常・筋緊張亢進などの精神経症状をきたす。
・治療はアンモニアの生産を抑制する。
・食事中の蛋白制限、便通改善。
・分岐鎖(分枝鎖)アミノ酸製剤を投与する。
②肝炎
・肝炎とは肝臓に炎症が起こった状態で、赤く腫れて熱を持ち触ると痛みを感じる。
・肝炎を起こす原因としてウイルス、薬剤、アルコール、自己免疫疾患、アレルギー等がある。
・日本人の肝炎の約80%が、肝炎ウイルスが原因。
・肝炎ウイルスにはA・B・C・D・E・G型などがある。
・日本人に多いウイルス性肝炎はA・B・C型の3種類
・経過により急性肝炎、慢性肝炎、劇症肝炎の3つに分類できる。
・突然的に発症し一過性のものを急性肝炎、6ヶ月以上症状のおさまらないものを慢性肝炎、急性肝炎のう ち特殊なもので1週間から10日で死に至ることが多いものを劇症肝炎という。
・肝臓病の中で一番多いのは慢性肝炎で、一部は肝硬変へ進むことがある。
③A型肝炎
・A型肝炎ウイルスによって起こる肝炎で、日本で起こる急性肝炎の約40%がA型肝炎。
・感染力が強い。
・汚染された飲み水や魚介類を摂取することで経口感染する。
・衛生状態の悪い地域の生水・生物に注意する。
・小児や若者に多い。(高齢者は抗体を獲得している可能性がある)
・症状は一過性で、慢性肝炎に移行することはなく、劇症肝炎になることもまれで、A型肝炎は1度かかる と永久免疫ができ、再感染することがないことが特徴である。
・2~6週間の潜伏期を経て発症。高熱、全身倦怠感、下痢、食欲不振など風邪に似た症状が現れ約1ヶ月 で完治する。
・ワクチンにより予防できる。
④B型肝炎
・B型肝炎ウイルスによって起こる肝炎で劇症化しやすい。
・B型肝炎ウイルスに汚染された血液が皮膚の傷口等から体内に入り込むことによって感染する。
・出産時の母子感染、輸血、刺青や覚醒剤、性交渉、医療従事者の針事故により感染する。
・再感染のない一過性感染と慢性化の恐れのある持続性感染がある。
・一過性感染とは、B型肝炎ウイルスに感染すると、1~6ヶ月間の潜伏期間を経て急性肝炎を発症。
・健康な成人がはじめてB型肝炎ウイルスに感染した場合はほとんどが一過性感染。
・黄疸の数%に劇症化するものがある。
・免疫機構が未熟な幼少期にB型肝炎ウイルスに感染すると、ウイルスを異物と認識できず肝炎はおこら ないがウイルスも排除されず体内にウイルスを保有した状態、持続感染となる。このように体内にウイル スを保有してしまう人をキャリアと呼ぶ。
・幼少期の無症候期を経て、10~30代の間に肝炎が起こり約10%の人が慢性肝炎へと移行する。
・HBワクチンにより予防できる。
・治療は安静を保つ。
・治療薬は大きく分けて2つ。
1.肝炎ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤(インターフェロン)
2.肝臓の炎症を抑える肝庇護薬
・ステロイド剤の投与を突然中止して炎症を悪化させるリバウンド現象を利用した、ステロイド離脱療法が ある。
・慢性肝炎では、肝硬変へ移行するのを食止め慢性肝炎の段階で治癒することが目標となる。
⑤C型肝炎
・C型肝炎ウイルスによって起こる肝炎で、B型肝炎ウイルス同様、血液を介して感染する。
・C型肝炎ウイルスは感染力が弱く単に血液に触れたぐらいでは感染しない。そのため、母子感染や性交渉 による感染も極めて少なく、日常生活で移ることはほとんどなく大部分が輸血・血液製剤・刺青や覚醒・ 同性愛者によるものである。
・成人になってから感染すると治りにくく、7~8割の人が慢性化する。
・他の肝炎より症状が軽いのが特徴で、発症しても気が付かずに治癒していたり、検診などで慢性肝炎とし て見つかることがよくある。
・C型肝炎に感染すると、2~16週の潜伏期間を経て、発熱、頭痛、食欲不振、関節痛など急性肝炎の症  状が現れる。
・一般的には慢性肝炎や初期肝硬変では自覚症状が乏しいため、進行した肝硬変となってはじめて全身倦怠 感や疲れやすいといった症状が現れる。
・慢性化する確率が非常に高い肝炎で、7割ぐらいの人が慢性肝炎へと移行する。
・治療の基本はインターフェロン療法。
・C型肝炎のワクチンは無い。
⑥肝硬変
・肝細胞の変性、壊死に対応する再生が反復することで肝臓に繊維化がおこる。
・肝炎やアルコールが原因で肝臓の細胞が破壊されつづけると、再生能力の高い肝臓といえども限界が訪れ る。肝臓の中に線維が増えて固くなり、見た目にもゴツゴツとしたこぶだらけの臓器になる。この状態を 肝硬変といいう。 肝硬変になると、肝臓内部の血液循環に異常が生じ、肝臓の働きが果たせなくなる。
・肝臓が固くなることで肝臓へ血液が流れにくくなる。
・慢性肝疾患の終末像。
・90%が肝炎ウイルスの慢性肝炎からの進展によるもので、圧倒的に多いのはC型肝炎で肝炎ウイルス。
・肝炎ウイルスの他の原因としてアルコールがあげられる。
・肝硬変の重傷度の指標としてチャイルドビューがある。
・血清ビリルビンが上昇する。
・血清アルブミンが低下する。
・腹水が増加する。
・精神神経症状を発症する。
・プロトロンビン時間が低下(延長)する。
・症状に①手掌紅斑②クモ状血管種③末梢血管拡張④女性化乳房などがある。
・肝硬変は1度発症すると元に戻れない。治療は患者さんのQOL(生活の質)を維持し、肝硬変の進行を 食止めることを目的として行われる。
・治療は安静療法と食事療法がある。
・食事療法は原則として高蛋白食、ただし腹水高度、脳症がある場合は蛋白質制限をする。
・代表的な合併症には腹水、食道静脈瘤、肝性脳症、痔がある。
・腹水の治療として塩分の制限、利尿剤の投与、アルブミン製剤の投与を行う。
・肝性脳症の治療として分岐鎖(分枝鎖)アミノ酸製剤を投与する。
・肝硬変→門脈圧亢進→食道静脈瘤・腹水(アルブミン↑)
・食道静脈瘤とは…門脈から食道へ行く血液が多くなり、血管の怒張が見られること。胎児の頃に使用していた腹壁静脈も怒張する。
・食道静脈瘤の治療
・SBチューブによる圧迫止血。
・食道静脈瘤硬化療法…患部に硬化剤を注入して静脈瘤を固める。
・食道静脈瘤結紮(けっさつ)術…静脈瘤を輪ゴムでしばり血流をとめる。
⑦劇症肝炎
・急激、広範囲に起こる肝細胞の壊死に基づく肝機能不全。
・急性肝炎の中で約1%の方が劇症肝炎になるといわれる。
・最初の症状が出てから8週間以内に肝性脳症が出て、なおかつプロトロンビン時間が40%以下になると 劇症肝炎と診断。
☆プロトロンビン時間とは…肝機能をみる指標の一つで健康な人を100%とする。
☆肝性脳症…羽ばたき振戦・腱反射異常・筋緊張亢進などの精神経症状をきたす。
・意識障害、出血傾向にあり、脳浮腫・感染症・消化管出血・腎障害等の重い合併症を引き起こす。
・多臓器不全の病態を示し、予後は不良。(生存率は30%)
・治療は、救命を目的とした全身的なものになる。ICUに準じた施設への収容が望まれる。
・劇症肝炎は、肝臓病の中でも死亡率がきわめて高く70~80%の人が死亡する。
⑧脂肪肝
・肝細胞の内部に脂肪が貯まる。
・原因は①肥満(過剰栄養)②糖尿病③アルコールの多飲④ステロイドの長期投与⑤栄養障害⑥タンパク合 成障害⑦妊娠⑧ライ症候群⑨慢性感染症などがあげられる。
・治療は食生活の改善を行う。
・アルコールの多飲…脂肪肝→肝硬変へ移行する。
⑨肝癌
**肝癌は、原発性肝癌と転移性肝癌に分けられる。
・原発性肝癌は、肝細胞癌と胆管細胞癌に分けられる。
・移転性肝癌とは胃癌や大腸癌などの癌細胞が血液を介することで肝臓に移転してきたもののことをいう。
・移転性肝がんは治療が難しく命に関わることがある。
・肝切除の対象となる疾患の大部分は大腸癌である。
・肝臓癌の90%以上は肝細胞癌。肝細胞癌は正常な肝臓に発生することはまれでB型肝炎・C型肝炎・肝 硬変などの慢性肝疾患の人に発生するケースがほとんどである。
☆肝細胞癌
・肝細胞癌は原発性肝癌で最も多い癌である。
・50~60歳代の男性に多い。
・肝硬変に合併することが多い。
・現在では70~80%にC型肝炎ウイルスの関与が認められる。
・自覚症状は肝硬変に見られる症状、全身倦怠感、腹水、黄疸など。
・70%の肝細胞癌で血液検査においてAFP、PIVKA-Ⅱが異常高値となる。
・AFP、PIVKA-Ⅱは腫瘍マーカーと呼ばれる。
☆腫瘍マーカーとは?
癌には多くの種類があるが、中には腫瘍マーカーと呼ばれるその癌に特徴的な物質を産生するものがある。そのような物質のうち、体液中(主として血液中)で測定可能なものが、いわゆる「腫瘍マーカー」として臨床検査の場で使用する。
腫瘍マーカーは、進行した癌の動態を把握するのに使われているのが現状で、早期診断に使えるという意味で確立されたものは存在しない。癌の動態を把握するとは、治療効果を判定するという意味で、例えば進行した癌に対して化学療法や放射線療法が行われている場合、その治療がどれくらい効果があるかを判断することに腫瘍マーカーが使われる。
・肝臓癌の診断には肝機能検査(腫瘍マーカー)、画像検査(体部CT、超音波検査MRI、肝血管造影)などがある。
・超音波検査は無侵襲だが、肺など空気の多い場所は写りにくい。
・MRI検査は脳や脊椎検査に優れている。磁場が発生するので金属片に注意しなければならない。
・肝血管造影では拡張した腫瘍血管像、濃染した腫瘍像、肝動脈と門脈、肝静脈とのシャント像が見られる。
・治療は肝機能が良好であれば肝切除術を第一に考慮する。
・肝切除後の残存肝の予備機能を考慮して切除適応の是非や切除範囲を決定する。
・肝切除術の他に経皮的ラジオ派熱灼療法(RFA)、マイクロウェーブ凝固壊死療法(MCT)、経皮的エタノール注入療法、塞栓療法(TAE)、肝移植が行われる。
・経皮的ラジオ派熱灼療法(RFA)、マイクロウェーブ凝固壊死療法(MCT)、経皮的エタノール注入療法は局所の麻酔で治療が行え、入院は2日程である。
・肺細胞癌は栄養血管として肝動脈支配が優位であるため、動脈塞栓物質で遮断し、腫瘍の縮小あるいは消失をはかるものである。
・肝移植は脳死患者より全肝を移植する全肝移植と、血縁者の部分肝を移植する生体部分肝移植がある。
・日本では生体部分肝移植が多い。
⑩芳香族アミノ酸と分岐鎖アミノ酸の違い
・芳香族アミノ酸…芳香環を有するフェニルアラニン、トリプトファン、チロシンなどのアミノ酸をまとめて芳香族アミノ酸という。これらの芳香族アミノ酸はたんぱく質の構成成分として用いられるだけでなく、ホルモンや各種アミンなどをカラダの中でつくるのにも使われる。
血中に増加した芳香族アミノ酸が偽性神経伝達物質の合成に関与し、正常な神経伝達であるドー パミンやノルアドレナリンに代わって作用するために肝性脳症が出現する。つまり、芳香族アミノ酸が増加することによって、肝性脳症を引き起こす。芳香族アミノ酸であるフェニルアラニンとチロシンの代謝部位は肝臓であり、その血漿中濃度は肝細胞機能に依存する。
・分岐鎖アミノ酸…3つのアミノ酸はともに分岐鎖アミノ酸と呼ばれる。カラダのたんぱく質を増やす働きや、運動時のエネルギー源として重要な役割を果たす。
肝性脳症を治療するために、分枝鎖アミノ酸を投与する。

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小腸と大腸

3)小腸
・小腸は長さ約6mの管である。
・トライツ靱帯より肛門側にある。
・回腸弁は小腸の終点。
・小腸の上部2/5を空調、下部3/5を回腸とよび明確な境界は存在しない。
・小腸粘膜にはビロード状の腸絨毛があり、食物から栄養素を吸収する働きを担う。
・上部小腸ではビタミンA・D・B・C・葉酸の吸収が行われる。(ビタミンB12以外のもの)、下部小腸では胆汁酸、ビタミンB12の吸収が行われる。
・小腸癌は非常にまれである。
①クローン病
・大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患といい、 クローン病も、この炎症性腸疾患のひとつである。
・原因不明の慢性非特異性炎症疾患、遺伝的要因やウイルス感染や自己免疫異常を指摘される。
・先進国に多く、北米やヨーロッパで高い発症率を示す。
・環境因子、食生活が大きく影響する。動物性タンパク質や脂肪を多く摂取し生活水準が高いほどクローン 病にかかりやすいと考えられている。
・10~20歳代の若年者に好発し、男性に多く発症する。
・口から肛門部まですべての部位がおかされれ炎症や潰瘍がおこる。
・初期には回盲部に好発する。
・自覚症状は腹痛や下痢、血便、体重減少など。
・薬物治療ではステロイド薬・免疫抑制剤などが用いられ、食事療法では成分栄養療法を行う。
・栄養療法には経腸栄養と完全中心静脈栄養がある。
・経腸栄養療法は、抗原性を示さないアミノ酸を主体として脂肪をほとんど含まない成分栄養剤と少量のタ ンパク質と脂肪含量がやや多い消化態栄養剤やカゼイン、大豆タンパクなどを含む半消化態栄養剤がある。・完全中心静脈栄養は高度な狭窄がある場合や広範囲な小腸病変が存在する場合、経腸栄養療法を行えない 場合などに用いられる。
・狭窄や穿孔を起こすと手術が行われる。
・手術はできるだけ腸管を温存するために小範囲切除や狭窄形成術が行われる。
・再燃・再発を繰り返し慢性の経過をとり、完全な治癒は困難である。
・症状が安定している時期(緩解)をいかに長く維持するかが重要。

4)大腸
・大腸は消化管の最終部で全長約1.6mの管である。
・大腸は盲腸・結腸・直腸からなり、結腸は上行結腸、下行結腸、S状結腸からなる。
・大腸には半月ヒダが存在し、食物の水分を吸収し固形便となり肛門から排泄される。
①大腸癌
・大腸癌の頻度は増加傾向にあり、増加の原因として食生活の西欧化が一因とされる。
・大腸癌は遺伝的に発生する家系が存在する。(家族性大腸ポリポーシスなど)
・組織学的には腺癌が多く、内側の粘膜から発生する。
・好発部位はS状結腸・直腸が多い。
・自覚症状は下痢や便秘、腹部膨満感など。
・発生初期には自覚症状が無い。
・初期には便潜血反応が陽性になるだけで発見が遅れがちである。
・初期の段階(大腸粘膜癌)は開腹手術せずに内視鏡的粘膜切除術で治療を行う。
・大腸癌の手術には、根治を目指す治癒切除と対処療法的な非治癒切除、姑息手術がある。
1.治癒切除
・手術前に肝臓や肺などに転移を認める場合には、治癒切除は行わない。
・治癒切除は手術前に肝臓や肺への遠隔転移および大腸の壁を越えて他臓器に浸潤していないと判断された場合に選択される術式。
・治癒切除では腫瘍部分と周囲のリンパ節の切除を行う。
2.対処療法的
・対処療法的では大腸がんの遠隔転移などのために外科療法で切除しきれない場合や手術後に癌が再発した場合などに化学療法(抗ガン剤)による治療を行う。
・大腸癌は分化度の比較的高い腺癌であり放射線感受性が低い。(放射線治療の効果が弱い)
・放射線療法は高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療方法。
・骨転移や骨盤内再発の痛みに対しては、症状を緩和する目的で放射線療法がしばしば行われる。
・癌が大きい場合に手術前に放射線療法を行い、癌を小さくし手術を行う。これを術前照射という。
・放射線の照射線量は40~50Gy程度。
・放射線療法の副作用として、腸管の癒着による通過障害、粘膜組織障害による下痢や腹痛、出血などの合併症の可能性が考えられる。
3.姑息手術
・高度な転移がある場合には、便排泄を確保するなどの目的のために姑息手術が行われる。
・肉眼で判定できない下血を潜血といい、便潜血反応で検査をする。
②潰瘍性大腸炎
・潰瘍性大腸炎は何らかの原因により、大腸の粘膜に炎症が起こり、びらんや潰瘍ができる疾患。
・大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患といい、 潰瘍性大腸炎も、この炎症性腸疾患のひとつである。
・原因は不明で若年者(小学生から)に多い。
・寛解と増悪を繰り返し完全治癒が得られない。
・直腸に初発し上行性に大腸全体をおかす。
・粘膜面に多発性の潰瘍や浮腫、出血を伴う。
・治療はまず内科治療を行い、コントロール難な出血や狭窄は外科手術で治療する。
・内科治療ではサラゾピン(リウマチ)、ステロイド剤、免疫抑制剤が使用される。
・潰瘍性大腸炎では末梢血白血球除去療法が行われる。
☆末梢白血球除去療法とは…体外循環装置を用いて血液中の白血球の一部を除去することにより、病態の改善を図る治療。静脈から体外循環装置を用いて末梢血を抜き、白血球 を吸着する性質を持った物質の入ったカラムの中を通して白血球を除去し、再び静脈に戻す。これを週1回計5週間、効果不十分な場合には10週間まで行う。
・食生活では油物の摂取を控える。
・大腸摘出すると水分が吸収できないため下痢が多くなる。
③感染性大腸炎
・細菌・ウイルスにより感染する。感染性大腸炎患者の排泄物の取り扱いに注意する。
・食中毒の起因菌に多い物は黄色ブドウ球菌・大腸菌(O157)・腸炎ビブリオ・カンピロバクターなど。
・ウイルスはノロウイルス・ロタウイルスなど。
・感染は中高年に多い。
・自覚症状は大量の水様便と嘔吐を主として訴え、急な腹痛、下血などが見られる。
・多大数の感染性大腸炎は4日程で寛解するため、脱水の予防・治療が主体となる。
④虚血性大腸炎
・高齢者や心疾患・動脈硬化・高血圧・糖尿病・血管障害などの基礎疾患を有する患者に好発する。
・虚血性大腸炎では腸間膜の血管が部分的に阻血となり、腸間膜の壊死と潰瘍がみられる。
・腸間膜の血液がいきにくくなる
・潰瘍性大腸炎・クーロン症・原発性胆汁性肝硬変・劇症肝炎は申請すると治療費が支払われる。
⑤小腸・大腸疾患のポイント
1)定型型手術
・結腸癌の手術…盲腸癌では回盲腸切除を行う。上行結腸癌・右側横行結腸癌では結腸右半切除術を行う。横行結腸中央部の癌は横行結腸切除術を行う。左側横行結腸癌・下行結腸癌では結腸左半分切除術を行う。S状結腸癌ではS状結腸切除術を行う。癌の進行にあわせてリンパ節郭清を行う必要がある。
・直腸癌の手術…腹会陰式直腸切断術(マイルズ手術)を行い、永久人工肛門造設が必要となる。
・人工肛門造設術…手術によって大腸を完全腸瘻として腹壁に固定して便を排出させる手術のこと。
2)炎症性腸疾患…大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患という。具体的には「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」がある。適切な治療をおこなえば通常の生活をおこなえるが残念ながら完全に治ることが無い。
命を落とすことは無いが、生活が大きく病気のために犠牲になるのがこの病気の特徴。3)大腸憩室…大腸の壁の一部が袋状に突出したもの。炎症や出血の原因になる。

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消化器の続きです、今日は「胃」ですwink

2)胃
・胃の表層粘液細胞は単層円柱上皮であり、消化液を分泌。
  ☆副細胞…粘液を分泌
  ☆壁細胞…塩酸を分泌
  ☆主細胞…ペプシノーゲンを分泌
・食物は胃に一時貯蔵され胃壁の運動による機械的作用や胃液の化学的作用によりを受けて粥状になる。
・胃液は無色透明で1日に約1~2リットル分泌される。
・胃液の主成分はペプシノーゲン、塩酸、粘液である。
・胃腺の主細胞からペプシノーゲンが分泌され、壁細胞から分泌された塩酸により活性化しペプシンになる。・ペプシンはたんぱく質を分解する。
・粘液は胃の内部を多い粘膜を保護している。
・胃酸分泌調節機構
  ☆脳相-食物を見る、嗅ぐなど-視床下部→迷走神経…胃酸分泌は促進する。
  ☆胃相-胃壁に対する食物の刺激-壁細胞、G細胞、D細胞を刺激…胃酸分泌は促進する。
   ☆腸相-食物が十二指腸へ到達-腸粘膜からセクレチンが放出される…胃酸分泌は抑制する。
①胃潰瘍
・胃の粘膜が、胃酸やペプシンによって自己消化された時に引き起こされる胃粘膜組織の欠損。
・胃炎よりも深く胃壁が傷つく病気で、病変は粘膜下層より深い。
・別名を消化性潰瘍という。
・胃潰瘍は50歳代の男性に多い。
・胃潰瘍の好発部位は胃角部および胃角部小彎。
・胃潰瘍の2原因としてヘリコバクター・ピロリ菌と非ステロイド性消炎鎮痛剤が挙げられる。
・その他の原因はストレスや喫煙など。
・自覚症状は上部腹痛、タール便、吐き気、嘔吐、胸やけ、腹部膨満感など。
・重要な合併症として出血・穿孔・幽門狭窄などがある。
・かつては外科的治療が多かったが現在では内科的療法が主体である。
・内科的治療には内視鏡治療と薬物治療がある。
・胃潰瘍より出血している場合はクリッピングあるいはヒートプローブを用いて内視鏡的止血術を行う。
  ☆内視鏡的止血術にはエタノール注入・高周波電気凝固・血管クリップ法などがある。
・薬物療法ではH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬など胃酸分泌抑制薬を投与する。
・プロトンポンプ阻害薬と抗生剤2種類(アモキシリとクラリスロマイシン)を組 み合わせる三剤併用療 法を行いピロリ菌の除菌を行う。(治療期間は約1週間)
・濾出血管のある潰瘍からの再出血の可能性は50%と高率だが薬物治療と内視鏡的止血術の組み合わせに よる止血成功率は95%以上である。
・幽門狭窄の治療を行い禁食が1週間以上に及ぶ例では中心静脈栄養を行う。
・胃潰瘍の緊急手術に穿孔部大網充填術(グラハム手術)がある。
・胃内容物が腹空内に漏れ、急性汎発性腹膜炎をおこすと緊急手術を行う。
・健常人では、なぜ胃酸・ペプシンは胃粘膜を自己消化しないのか?
 →粘液が胃の内部を保護しているから。
②胃アニサキス症
・アニサキス幼虫は体長2~3cm。
・アニサキス成虫は本来イルカやクジラの回虫でその腸に寄生しる。アニサキス幼虫が人間の消化管では   成長することは出来ず苦し紛れに粘膜を破り、さらに胃や腸の壁の中 にもぐりこみ行き小腸などに穴を あけてしまう。
・アニサキス幼虫はサバ・イワシ・アジ・タラ・スルメイカに寄生している。
・アニサキスの摂取後(約1~8時間後)に激しい上腹部痛を訴え、しばし吐き気・嘔吐を伴う。
・内視鏡検査を行うと、胃壁に穿入しつつある虫体を確認できる。
・予防として60℃以上の加熱や-20℃以下の冷凍で死滅する。刺身はよく噛んで食べる。
・胃アニサキス症の疑いのある患者に至急行う治療は?
 →上部消化管内視鏡検査を至急行う。(幼虫が胃の粘膜にいるうちに内視鏡で摘出するのが最も望ましい)
③胃癌
・日本の胃癌の頻度は世界的にも多く、胃癌多発国。
・胃癌は50歳代の男性に多い。
・組織型ではほとんどが腺癌である。
・好発部位は幽門前庭部、胃角部、胃体部の順に多く発生。
・自覚症状は様々で早期胃癌では約半数が無症状であるため、健康診断で発見されることがある。
  ☆様々な自覚症状…上腹部痛、腹部膨満感、胸やけ、吐き気、食欲不振、体重減少など。
・癌は粘膜表層(最内部)から発生し、進行すると垂直方向(外側)に浸潤する。
・癌の浸潤が粘膜下層を超える物を進行癌とよび、その分類はボールマンの分類が用いられる。
・進行癌は肝臓や肺などへの転移、血行性転移がおこりやすい。
・転移は腹膜播種・リンパ行性・血行性がある。
  ☆腹膜播種…ダグラス窩に播種し転移するものをショニッツラー転移という
  ☆リンパ行性…胸管をへて、左鎖骨上窩リンパ行性転移をウィルヒョウの転移という。  
  ☆血行性…肝臓→肺→骨→脳→腎臓→皮膚の順に転移する。
・胃癌には放射線治療は無効である。
・胃癌の治療は腫瘍切除が基本となる。
・早期癌のなかの粘膜癌で直径が2cm以下の分化型のものは内視鏡治的粘膜切除術(EMR)が行われる。
・内視鏡治的粘膜切除術(EMR)は粘膜だけの切除を行う。(局所切除)
・開腹手術にはビルロートⅠ法・ビルロートⅡ法・ルーワイ法がある。
④胃瘻
・胃瘻とは腹壁を切開して胃体部に直接チューブを挿入する方法。
・栄養を早く効果的に摂取させることと消化管の減圧のために増設される。
・嚥下障害など経口摂取が困難な患者の栄養状態を高める。
・チューブによる違和感が少なく、長期使用が可能である。
・PEGとは内視鏡的胃瘻造設術のことで外科手術は必要でない。
・PEGの管理として①バンパーによる圧迫虚血に注意する②瘻孔からの漏れに注意する③流水での洗浄し 清潔を保つ④適切なチューブへの入れ替えなどがある。
・チューブの周囲からの消化液の漏出があると皮膚を損傷してしまう。
・皮膚の清潔保持のために適宜ガーゼ交換をする。
・バンパーによる圧迫虚血予防のためPEGをきつく締めすぎない。
・在宅でPEGチューブを体外に抜去してしまった場合どうする?
 →抜去後は直ちに瘻孔を確保する。

私の祖父はPEGを増設した後とても栄養状態がよくなりました。
肌のツヤもよくなってビックリしたのを覚えています。happy02

お役に立てたでしょうか…catface

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食道

消化器

1)食道の解剖生理
・全長25cm。
・起始部・気管分岐部・横隔膜貫通部の3カ所に狭窄部がある。
・食道粘膜は重層扁平上皮でおおわれている。
・蠕動運動により胃まで食物を運ぶ。
・食道の上下両端は安静時には閉鎖しているが食物を嚥下するときには弛緩して開く。
・消化液を分泌するのは表層粘液細胞で単層円柱上皮である。
・食道は酸に弱い。

2)疾患
①食道癌
・食道癌は圧倒的に男性に多い。
・危険因子として喫煙・飲酒・熱いものの飲食・家族性因子がある。
・食道癌の90%は扁平上皮癌である。
・自覚症状は、つかえ感や嚥下困難。
・食道癌には放射線が有効である。
・食道癌の治療は手術療法・化学療法・放射線療法が基本である。
・進行性の食道癌では手術による治療が第一選択に化学放射線療法を組み合わせた集学的治療が行われる。
・治癒切除が不能な癌に対して姑息療法として化学放射線療法・メタリックステント療法が行われる。
・上部消化管検査(内視鏡、造影検査)では前処置として検査前日の夕食以後は絶食。
・明日、午後9時から上部消化管内視鏡検査をする場合は前日の午後9時以降は飲食できない。

②食道アラカシア
・性差はない。好発年齢は20~30歳代。
・食道アラカシアは「下部食道噴門部の弛緩不全による食物の通過障害や食道の異常拡張などがみられる機能的疾患である」と定義。原因は不明。
☆下部食道噴門部とは…胃と食道の接合部のこと。
・自覚症状は、つかえ感や嚥下困難。
・診断はX線造影・内視鏡検査を行う。
・食道アラカシアの治療としては薬物治療、手術療法と食道下部狭窄部の拡張術がある。
・薬物治療は平滑筋弛緩作用のあるカルシウム拮抗薬を食前10~20分に舌下投与する。
・拡張術は内視 鏡バルーンやブジーによって下部食道括約部を強制的に拡張する方法。
・手術療法は下部食道括約部の筋層を縦切開する。

③逆流性食道炎
・食道炎は胃液(酸とペプシン)が逆流することによる食道粘膜の障害。(胃炎症性疾患)
・食道下部括約筋の弛緩、食道ヘルニアなどが原因で発症。
・食道裂孔ヘルニアを合併するとLES圧は低下し、逆流性食道炎(GERD)の発生要因となる。
☆食道裂孔ヘルニアとは
食道が通る穴が食道裂孔でこの穴を通って腹腔内にあるべき胃の一部が胸腔側へ脱出している状態を食道裂孔ヘルニアという。
☆LES圧とは
LESはlower esophageal sphincterの略。下部食道括約筋のこと。下部食道括約筋(LES)が胃の噴門部を締める力(圧力)のことをLES圧という。胃液の逆流は、LES圧が下がることによっても起こる。
・自覚症状は胸やけ、胸痛、つかえ感など。
・治療は日常生活の指導、薬物療法、手術療法に大別される。
・日常生活指導では過食や高脂肪食、炭酸飲料・コーヒー・緑茶などを避ける。
・就寝前の摂食を制限する。
・食後2~3時間は上半身を起こしておく。(臥位にならないようにする)
・薬物療法はPPIやH2受容体拮抗薬といった胃酸分泌抑制剤を投与する。(食道粘膜保護剤も投与)
・手術療法は腹腔鏡下ニッセン法やトゥーペイ法、ヒル法、ベルシー法がある。
・マロリー・ワイス症候群は飲酒後に嘔吐を繰り返すうちに大量に吐血するが、入院の必要はない。
・下部食道・胃噴門部上部に長軸方向の裂創。

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